Tレグの可能性 アレルギー治療の最前線

各種アレルギー治療の鍵を握る細胞「Tレグ」の可能性

2015年4月5日。NHKスペシャルにてとても興味深い内容が放送されていました。それは、花粉症などのアレルギー症状に対する治療の最前線についてです。

今、世界には卵アレルギーやゴマアレルギー、ピーナツアレルギー、マンゴーアレルギーなど、様々なアレルギーで悩む人が増えています。幼児期からアレルギーを発症するケースも少なくありません。

アレルギーになる人は1960年代から世界中で急激に増えており、今は3人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われています。

そんな悩ましいアレルギー症状の治療の鍵を握るものとして、今大注目されているのが「Tレグ」という細胞です。

Tレグとは「制御性T細胞」のことで、アレルギーを抑えこむ免疫細胞として話題を集めています。

アレルギーの人が少ないアーミッシュ村の人達

番組内では、アレルギー治療について追及するべく、アメリカ大陸の「アーミッシュ」という村の取材が行われていました。

アーミッシュは自給自足の村であり、農耕や牧畜による昔ながらの生活を続けている村です。

そして、このアーミッシュ村で暮らしている人々は、アレルギーの人が極端に少ないことが解かってきました。都会の人と比べて、花粉症の人は20分の1、アトピーの人は10分の1しかいないそうです。

当初はアーミッシュの人達はアレルギーに強い遺伝子を持っていると考えられましたが、それは正しくはありませんでした。アレルギーに強い遺伝子というのは、発見されなかったそうです。

そこで注目されたのが、家畜とのふれあいです。牧畜が普通に行われているアーミッシュでは、子供の頃に家畜と触れ合うケースが多いです。そして、この幼い頃からの家畜との触れ合いにより、アレルギーが出にくくなることが明らかになってきました。

実際にアーミッシュで幼い頃から家畜に触れている人は、都会暮らしの人と比べてTレグの細胞が35%も多かったそうです。

Tレグの働きについて

Tレグの存在は、実は今から20年前に発見されていたそうです。発見したのは、大阪大学の坂口教授です。

人体は外部から何らかの物質が侵入した時、その物質に特に害が無くても攻撃してしまう性質があります。これにより、アレルギー反応がでます。

Tレグはこの無意味な攻撃と止める働きがあるので、アレルギー反応を止められるわけです。

アレルギー症状はある意味、免疫細胞が過剰に反応してしまい、抑制が効かなくなることによって起こるものなのですね。

したがってこのTレグの発見により、今後数年の間にアレルギー対策が劇的に進化するかもしれないと言われ始めています。

また、Tレグの優れた点は、相手をきちんと判断した上で攻撃を抑制してくれるところです。

人体に害がある物質の侵入に対してはTレグは働かないので、免疫細胞がしっかり働いてくれます。

現代の都会人はTレグ細胞が減少していると言われていますが、前途の通り、アーミッシュの人達はTレグが多いです。

これは家畜が出す細胞を子供のころに吸い込んだり、さらされたりすることによって細胞が刺激され、Tレグが増えたと考えられています。

Tレグが一番増えるのは、3歳ぐらいまでだと言われています。

アレルギーになっていない子供の予防について

昔はアレルギーの原因となる食品を避けることでアレルギーを予防できると考えられていましたが、これは間違いでした。

アレルギー食品を避けることで、アレルギーを予防できるという証拠はありません。

最近の研究結果では、子供のピーナッツアレルギーを予防するためには、出来るだけ早い段階でピーナッツを食べることによって予防できる可能性が高まることが判明しています。

ラットの実験では、生後にピーナッツを食べることよってピーナッツ専門のTレグが作られ、卵を食べれば卵専門のTレグが生まれることがわかっています。食物ごとの専門のTレグが生まれることが動物実験によって明らかになっており、人体ではどうなのか、今後の研究結果が待たれています。

上記から、アレルギーを予防するためには原因となる食品を避けるのではなく、逆に早い段階で摂取することが大切だと考えられています。

※ただし、これはアレルギーを発症していない子供さんの場合です。

アレルギーの意外な原因

食物アレルギーの代表格として「ピーナツアレルギー」がありますが、ピーナツアレルギーの91%の子供が、幼い頃にピーナツオイルを使っていたことが判明したそうです。

つまり、ピーナツを食べることは予防になるのですが、皮膚の湿疹などから入ってしまうと、アレルギーになる危険性が高まります。

炎症などで皮膚のバリアが壊れた場所から食物のタンパク質が入ってしまうと、体はこれを寄生虫のような外敵だと判断してしまいます。これを拒否しようとして、アレルギー反応が出てしまうそうです。

皮膚はもともと、外から異物が入ってくるように出来ていません。

予防のためには保湿ケアをしっかり行い、バリアを作ることが大切です。また、湿疹が出来た場合はできるだけ早く治すことも重要です。

アレルギーの完治を目指すための最新治療

最近の花粉症治療として話題になっているものに「舌下免疫療法」があります。これは少しずつ花粉を入れることで、Tレグを活性化させるものです。しかし、1度に入れる花粉の量が少ないので、治療期間が長く、効果が出ない可能性もあります。

もっと効果的に治療するために、今現在研究が進められているのが「特別なお米を食べる」方法です。

それは毎日一食だけ、特別なお米を食べるだけです。そのお米とは、花粉の成分が大量に含まれたものです。花粉のタンパク質を最新技術で操作して作っており、危険なアレルギー反応を起こす部分だけを省いています。

実験では花粉症の人が2ヶ月間お米を食べ続けた結果、Tレグが増えて、花粉の症状が出にくくなりました。さらに、花粉を攻撃する免疫細胞が半分も減っていました。今後は、治った後に特別なお米を食べなくても大丈夫なのか、臨床試験の結果が待たれています。

この方法を用いれば、原因物質をお米の中にいれるだけで、様々な食物アレルギーの治療が可能になります。基本的にはどんなアレルギー治療も同じ原理で進められるので、今後は様々なアレルギーを根治できるかもしれません。

今後の研究の成果を、おおいに期待したいですね。

 

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